紅茶の日記

好きなコトに対して、気軽にゆるーく語ります。

劇場

映画『劇場』を見ました。

私は又吉直樹さんが書く小説が大好きで、小説『劇場』は高校3年生の時に初めて読みました。それからずっと大好きな本です。

 

だから、映画化が決まった時はすごく嬉しかったんですけど、不安というか、複雑な気持ちになりました。これがいわゆる原作至上主義、、?

というわけで、公開されてから10ヶ月ほど立ってからようやく大好きな本の映画を見ました。

 

[共感できないのに、なぜか心が揺れる]

 

まずこの話は、永田にも沙希にも共感できないんですよね。

永田は自分勝手だし、沙希は聖母マリア並みの優しさだし。

恋愛映画って、「共感」というキーワードでほとんどが成り立ってると思うし、だからこそ廃れずに人気だとおもいます。

けど、この映画にはそれがない、そしてそこが素晴らしいと思います。

「共感」という強いエッセンス無くとも、恋愛映画として成り立ってるし、より人と人としてのつながりが濃く映し出されています。

 

印象的だったのは、自己中心的な永田ですが、彼の原動力は「沙希の笑顔」だったことです。

あれだけ意味不明なタイミングでキレて自分勝手でも、沙希によく見られたい、失望させたくない、という思いを持って、劇団員として奮闘してたのです。

好きな人であればあるほど、取り繕ったり、素直になれなかったりしますよね。

永田は良くも悪くも青年のまま大人になった人物だと感じました。

 

一方で、沙希は「永田のために」と行動するよりも、本能のまま生きている印象を受けました。

底なしの優しさを持つ彼女ですが、嫌味がなく、きっと無意識なんだと思います。

彼女の優しさは、人のための優しさではなく、内から滲み出る優しさ。

だから無意識のうちに何もかもを抱え込んでしまったのかな、と。

 

この映画で好きなフレーズは「一番安全な場所」です。

高校生の頃に小説でこのフレーズを見た時は、いまいちピンときませんでした。

けれど、半同棲を経験した今では、この言葉が痛いほどわかります。

二人だけの部屋は、なんの干渉もない、世界で一番安全な場所なんですよね。

 

私がこの小説を読んだきっかけでもあり、又吉さんのファンになったきっかけが、yonigeです。私の大好きなバンドです。

彼女らの曲に『沙希』っていう曲があって、まさにこの物語について歌ってます。

牛丸さん(yonigeのギターボーカル)この映画見たのかな、とふと考えていました。

こうやって、自分の好きなカルチャーってつながっていくから、多少痛くともサブカルは辞められないですね、、。

 

また、小説も読み直してみようと思います。